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BAREMOベアモ · MEN’S BEAUTY JOURNAL
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2026.10.24

花屋のハンドクリーム、今度はヒノキ。「塗ってすぐ働きたい」から生まれた一本

水仕事の手から出てきた注文とは。前作ローズやユースキンの誕生をたどると、ハンドクリームの見方が少し変わります。

情報確認:2026年10月24日

花の茎を扱う水仕事の手元。実際のブランドスタッフではない架空イメージ
架空のイメージです。実在の物件・人物・施設・アプリケーションとは関係ありません。

花屋で花を買わずに、ハンドクリームを買う。しかも香りはローズではなくヒノキ。青山フラワーマーケットから10月23日に出た新作は、この小さな意外性だけでも気になります。

でも、調べていちばん引っ掛かったのは、ヒノキよりも「塗った直後に花や道具を触りたい」という作り手側の要望でした。きれいな花を売る人の手は、水仕事の手でもある。この一本を見るなら、まずその仕事のほうから入りたいです。

メーカーの公開資料をもとにした読みものです。スタッフへの独自取材、商品の試用は行っていません。

花のある暮らしの、裏側にある手

冷たい水、ハサミや資材を扱う作業、乾いた空気。青山フラワーマーケットの発表は、フローリストが一年を通して手を酷使することから始まります。華やかな売場の雰囲気とは、ずいぶん違う話です。出典:パーク・コーポレーションの発売発表

新作「ハンドクリーム ヒノキ」は40g・1,430円。製造販売元はナリス化粧品です。花屋が一から化粧品工場を作った、という話ではなく、日々の仕事から出てくる注文を化粧品づくりにつないだ商品。この関係が面白いです。

保湿した後、仕事に戻るまで待ちたくない。発表にある「すぐ花や作業道具を触れるように」という要望は、パソコンやスマホに触れる私たちにも分かりやすい。成分名の多さより先に、そこを知りたくなります。

公式発表に掲載された、ヒノキのハンドクリームを手の甲に出す様子
引用:パーク・コーポレーションの発表。細身の容器と手に出す様子が分かる写真。なじむ速さやベタつきまでは、静止画だけでは分かりません。

花屋なのにヒノキ。その理由はちゃんとある

今回ヒノキを選んだのは、甘い香りが苦手な人や、男性にも手に取りやすい香りを作りたかったからだといいます。単にウッディ系を追加したというだけでなく、ヒノキらしい香りになるよう試行錯誤した、という説明です。

男性の好みをひとまとめにはできませんが、「花屋のクリーム=甘い花の香り」と思っていた人には、入口が一つ増えます。ヒノキの香りが好きなら、花屋の買い物に小さな寄り道ができそうです。

一方で、「忠実なヒノキの香り」や「ベタつかない」はメーカーの説明です。こちらで嗅いだり塗ったりして確かめた感想ではありません。手に取るなら、香りと、なじませた後の指先の感触を一緒に見たい。いい話だから、使用感もきっといい。そこまで話を飛ばしたくはありません。

実は前作ローズにも、花屋らしい注文があった

このシリーズは今回突然生まれたものではありません。2024年6月10日にパッケージを刷新したローズについて、開発したナリス化粧品は、過酷な水仕事に向き合う花屋のハンドクリームであることが、開発の条件だったと説明しています。出典:ナリス化粧品・2024年6月6日の発表

さらにローズでは、ナリスの宮城県登米市のバラ園で育てたバラから抽出した成分を使用。そのうち、パッケージにも描かれた「ダブルデライト」は、青山フラワーマーケットで観賞用にも販売されることになりました。

ナリス化粧品の資料に掲載されたダブルデライトのバラ。淡い花びらに赤い縁が見える
引用:ナリス化粧品(2024年)。赤から白への花びらの変化が見える「ダブルデライト」。ヒノキの原料写真ではなく、前作ローズの背景を示す資料。

もともとは化粧品の成分を取り出すためのバラが、花としても人に見てもらえるようになる。クリームを花屋に置いただけでなく、化粧品の側から花の売場にもつながった。この往復には、花屋と組む意味を感じます。

2024年のローズは、香料を加えず、バラ由来の素材が香るという説明でした。今回のヒノキへ、その処方の説明まで丸ごと持ち込むことはできません。香り違いでも別の商品。ヒノキはヒノキの仕様で見ましょう。

「ベタつくから困る」は、昔から開発の出発点だった

手を使う人の不満からクリームを作る、という流れには先例があります。ユースキン製薬が紹介する自社の歴史では、1955年初冬、手荒れに悩む女性が創業者の薬局を訪れたことが発端。欲しかったのは、ベタつかずに使えるクリームでした。

当時の商品に満足できずに帰った姿が心に残り、研究者に開発を依頼。1957年にユースキンクリームを発売したといいます。出典:ユースキン製薬・公式の歴史

70年近く前の薬局と、今の花屋。時代も商品も違いますが、共通しているのは「塗って終わり」ではなく、その後も手を使って暮らす人を見ていることです。今回のヒノキが、ユースキンと同じ効き目だという意味ではありません。似ているのは、開発の問いの立て方。

ハンドクリームは、何を入れたかだけでなく、塗った後に何をしたい人のために作ったかで見ると面白い。花を束ねる人の注文なら、スマホやマウスをすぐ触りたい自分にも参考になる。そんなふうに、遠い仕事が急に近くなります。

1,430円で買いたいのは、物語と、毎日の使いやすさ

この新作の背景は好きです。でも、花屋が作ったという物語だけで、手元に残る一本にはなりません。香りを気に入ること、仕事や家事の途中で使いたくなること。そこまでそろって、初めてバッグに入れたくなる。

花を買いに行ったついでに、試せるならヒノキも嗅いでみる。香りが合えば、手になじませた後の感触も確かめる。最初の出会いは、それくらい軽くてよさそうです。花屋で自分用のハンドクリームを一本。花束ほど気張らない買い物ですが、こういう寄り道はちょっと楽しい。

出典・確認情報

情報確認:2026年10月24日。独自取材・試用、メーカー提供なし。本文の出典リンクにアフィリエイトは使用していません。